療育手帳【申請方法・メリット・デメリット】
手帳にも種類があり対象者が違ってきます。ここでは「療育手帳」について紹介していきますね。
療育手帳とは
障害者手帳には、身体、精神、療育の3種類があります。療育手帳は、主に知的障害のある人を対象にしたものです。法律に基づいて作られた制度ではなく、各地方自治体によって設けられている制度です。よって、自治体ごとに取得できる基準や、受けられるサービスの内容が異なっています。名称も自治体により「愛の手帳」「みどりの手帳」「愛護手帳」「療育手帳」と異なります。
対象者
前述した通り基準は自治体によりますが、判定の目安は以下のようです。
・おおむね18歳以前に知的機能障害が認められ、それが持続している。
・標準化された知的検査によって測定された知能指数(IQ)が75または70以下(各自治体によって数値が異なることもある)。
・日常生活に支障が生じているため、医療、福祉、教育、職業面で特別の援助を必要。
療育手帳の対象者は、厚生労働省のサイトによると、児童相談所または知的障害者更生相談所から知的障害であると判定された人に交付されるとされています。取得の際に受ける検査も前述の施設で受けることが出来ます。(※18歳未満の方は児童相談所、18歳以上の方は知的障害者更生相談所で判定を受ける)
その後その判定に基づき都道府県知事から交付されます。交付まで1か月から2か月程度かかります。
また数年ごとに再判定が必要で2~5年ごとに再判定する自治体が多いです。
療育手帳は18歳未満で取得する方が多いですが、大人になってから知的障害の診断を受け、取得するケースもあります。
等級
基本的には障害の程度により重度「A」と重度以外の中軽度「B」等級区分がわけられています。
各自治体によって等級のわけ方や受けられるサービスの適用範囲も違います。
例えば
東京都など:1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)の4区分
兵庫県など:A(重度)、B1(中度)、B2(軽度)の3区分
A判定基準
- 知能指数が概ね35以下であって、次のいずれかに該当する者
○食事、着脱衣、排便及び洗面等日常生活の介助を必要とする。
○異食、興奮などの問題行動を有する。 - 知能指数が概ね50以下であって、盲、ろうあ、肢体不自由等を有する者
B判定基準
- B1(中度)
IQ36~50で日常生活がおおむね一人でできるが、不完全なため都度指示する必要がある。また情緒、行動面に注意が必要であり、疾病や軽い障害があり注意が必要。 - B2(軽度)
IQ51~75で日常生活は一人ででき、情緒行動面で注意は必要ではなく、身体的に健康であり治療や看護の必要がない。
メリット・デメリット
〈メリット〉
療育手帳を取得することで、障害の証明となることやさまざまなサービスを受けることができます。
自治体により変わってくるので詳しくは交付時に配布されるガイドブックや、お住まいの自治体のホームページや障害福祉課などの窓口で確認するといいでしょう。
・就労支援
療育手帳を持っていると、障害者雇用枠や特例子会社で就職が可能になります。
特定求職者雇用開発助成金、障害者トライアル奨励金、障害者雇用奨励金などの助成もあり、企業側としても入社を前向きに考えてくれやすくなります。
・生活上の支援
外出などの日常でのサポート、訓練などの福祉サービスなどを受けることができます。
公共交通機関や、施設利用料金の割引や減免を行っている自治体もあるようです。
- 医療費の助成
- 博物館などの公共施設の割引
- JRやバス・航空運賃などの公共機関の割引
- 携帯電話基本料金の割引
- 公営住宅の優先入居
- NHK受信料の免除
・経済的な支援
所得税や住民税等の障害者控除など、税制上の優遇措置を受けることができます。また、手当金が支給されることも自治体によってはあります。
- 障害者:所得税27万/住民税26万
- 特別障害者:所得税40万/住民税30万
- 同居特別障害者:所得税75万/住民税53万
また、条件を満たせば「障害児福祉手当」、「特別児童扶養手当」、「特別障害者手当」といった各種手当を受給することができます。
〈デメリット〉
療育手帳のデメリットは、強いて言えば精神的な部分になります。取得により、障害と向き合うことになり、気分が沈んでしまうことがあると考えられます。私自身も受け取りに行った時はため息がでました。口頭で話す分には平気でしたが、文字を目にする事は心にきました。
療育手帳は知的障害があるからといって、必ず取得しなければいけないということはありません。取得しても必要がなくなったら手帳を返納することもできます。 受けたい支援やサービスがあるかなど、それぞれの状況によって考えれば問題ありません。
療育手帳を持つことで、周りの方に障害があることがわかってしまうのでは?と心配になる方も多いですが自分から言い出さなければわかりません。
申請方法
〈申請時に必要なもの〉
・交付申請書(福祉担当窓口に用意されたもの)
・認印
・本人写真(縦4cm × 横3cm)
撮影から1年以内のもので、ポラロイド写真や普通紙に印刷されたものは不可。
・その他 母子手帳、幼少期の様子がわかる資料(18歳以上の場合)。
自治体により必要なものが変わるので、あらかじめ窓口で確認してくださいね。
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〈申請の流れ〉
①『申請者』は申請 + 判定機関の予約を『市町村の窓口』にする。
②『市町村の窓口』は予約確認を『判定機関』にする。
18歳未満の場合は、児童相談所。
18歳以上の場合は、知的障害者更生相談所。
③『判定機関』は判定内容を『申請者』に通知する。
④『判定機関』は判定内容を『市町村の窓口』に通知する。
⑤『市町村の窓口』から『申請者』に手帳を交付する。
都道府県により申請手順が異なるので、障害福祉の窓口に相談してから申請しましょう。
自治体によっては窓口に行けばそのまま申請を受け付け、送付してくくれるところもあるようです。また、直接判定機関で判定を受けその結果をもって障害福祉窓口に申請するところもあります。
本人または保護者の住所・氏名の変更、死亡または転居・転出の場合届け出が必要になります。
手帳の紛失・破損は再発行の手続きが可能です。
まとめ
いかがでしたか?デメリットは特になく、手帳を持つことで様々なサービスが受けれますね。
取得されてる方は、出かける予定のある場所でどんなサービスがあるか調べてみるのもいいと思います。
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